頭痛に悩んでいませんか?これも生理痛?つらさをわかってもらえない

紅葉も終わりに近づき、もうすぐ師走です。

今月12、13日に米子で行われた女性医学学会学術集会に参加してまいりました。

今回の学会で、HRTについてや、更年期女性に対する黄体ホルモンの使用について、頭痛への女性医学からのアプローチなど気になるお話をたくさん聞いてきました。

今回は頭痛についてです。

頭痛の分類

日本において慢性頭痛で悩んでいる方は、約4000万人と少なくありません。

頭痛の原因は様々であり、痛みの強さ、痛む場所、持続時間など、症状も患者さんごとに異なります。

頭痛は、原因となる疾患がなく頭痛自体が病気である「一次性頭痛」と、何らかの原因疾患により起こる「二次性頭痛」の2つに分けられます。

頭痛患者さんのおよそ9割は一時性頭痛であり、主に片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛が知られれています。

二次性頭痛には、くも膜下出血や脳腫瘍、脳出血、髄膜炎など命に関わるものもあり注意が必要です。

また、頭痛薬の過剰な使用により引き起こされる頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)もあります。

片頭痛を知ろう

日本には片頭痛患者さんが約1000万人いると言われていて、珍しい病気ではありません。

片頭痛は命に影響はないものの、頭痛により動けなくなったり、仕事や家事ができなくなったりするなど、日常生活に大きな支障をもたらすため、慢性頭痛の中でも特に社会的影響が大きい頭痛です。

片頭痛患者さんへの調査によると74%の方が仕事や家事、勉強などの日常生活に支障をきたしています。

片頭痛は女性に多く、男性の約3.6倍です。

中でも30歳から40歳代の女性の有病率が高いことが知られています。

片頭痛が起こる仕組み

片頭痛は何らかの刺激により、三叉神経と呼ばれる神経から神経伝達物質が放出され、脳や脳の周囲の血管が拡張したり炎症が起こったりすることで、引き起こされると考えられています。

頭痛を引き起こす要因

片頭痛患者さんの約75%には、頭痛が始まるきっかけがあると言われています。

精神面・・・ストレス、ストレスからの解放、疲れ

身体面・・・寝過ぎ、寝不足、月経周期

環境・・・天候の変化、温度差、におい、音、光、旅行

食事・・・空腹、脱水、アルコール、赤ワイン、チーズ

誘発因子としてストレスがあります。

ストレスの最中頭痛が発生するか、もしくは続いていたストレスから解放されてホッとした時に起こるかなどの詳しいタイミングは、患者さん自身が気づいていないことも少なくありません。

誘発因子を見つけることが重要です。

片頭痛の症状と経過

片頭痛の症状は、予兆期、前兆期、頭痛期、寛解期、回復期と経時的に変化します。

予兆期・・・頭痛発作の数時間から48時間程度前に、食欲が出たり、あくびが出たり、疲労感、集中困難、首や肩が凝るといった「予兆」を自覚する方がいます。

予兆が起きる割合は33%から87%と高率です。

前兆期・・・予兆の後、頭痛が始まる直前または同時期に起こる完全可逆性の局在神経症状です。

通常、5〜20分にわたり徐々に進展し、持続時間は60分未満です。

前兆は片頭痛患者さんの約20%にみられます。

前兆の症状としては、視覚症状(目のチカチカ、視覚消失など)、感覚症状(身体・顔あるいは舌のチクチク感や感覚麻痺など)、言語症状(失語)などがあります。

90%以上は視覚障害です。

代表的な前兆は閃輝暗点(せんきあんてん)が挙げられます。

閃輝暗点(せんきあんてん)」とは

視野にギザギザした稲妻様の光(閃輝)が現れ、これが次第に拡大していきます。

その後、視覚消失(暗点)が現れ、やがて頭痛が始まります。

これを閃輝暗点といいます。

頭痛期・・・主にこめかみの頭の側面にかけて、ズキンズキンと脈打つような中等症から重症の痛みが4時間から72時間続きます。

頭の両側が痛む場合やズキンズキンとしない場合もあります。

動くとつらく、吐き気や嘔吐を伴うことや、光・音などに過敏になることもあります。

回復期・・・頭痛時に食欲低下、疲労感、気分変化(気分的高揚、抑うつ、)などを認めることがあります。

持続時間は患者さんによってさまざまですが、平均23時間程度とされています。

片頭痛と月経の関係

月経時の片頭痛は、エストロゲンの分泌が急激に低下することにより誘発されると考えられています。

月経時に起こる片頭痛発作は、他の時期の発作に比べて重度で持続時間が長く、一度良くなっても再発しやすいという特徴があります。

しかし、月経時の頭痛を「生理痛の一種」と考える片頭痛患者さんが多く(78.1%)、医療機関を受診する患者さんは少ないことから、適切な片頭痛の診断・治療を受けていない方が多いのが現状です。

市販薬で対処した方は82.7%でした。

痛み止めを必要以上に服用してしまう方もいます。

生理痛で市販薬を飲んでいる方は多く、腹痛だけではなく頭痛でも服用している方が多い事に注意し、患者さんの頭痛の頻度や生活の支障度、特徴を聞き取り、治療につなげられるように対応したいと思います。

頭痛ダイアリーを用いることで、正確な頭痛の情報を把握できるので薬局でも勧めていこうと思います。

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