物忘れが多い!これって認知症?女性のほうが認知症になりやすい!?

エストロゲンが低下すると、認知機能は低下する!?

何かをしようと思ったはずなのに、何をしようとしたのかを忘れてしまうことがあります。

「もの忘れが多い」という訴えは更年期世代では約50%に達しています。

更年期外来でのアンケートでは1位「首や肩が凝る」2位「目が疲れる」3位「もの忘れが多い」で、女性医学学会雑誌に掲載されています。

女性ホルモンと認知症の関係については世界中で様々な研究が行われています。

脳の一部には、学習と記憶に関わる「海馬」という器官があります。

その海馬にエストロゲンの受容体が多く存在していることが知られています。

つまり、エストロゲンは学習や記憶と深く結びついているということです。

また、神経細胞の炎症を抑制したり、神経細胞とシナプスの活動を促したりするなど、神経細胞そのものを保護する作用があることもわかっています。

アルツハイマー型認知症とエストロゲンの関連を調べた研究もあります。

エストロゲンが欠乏すると、早い時期から脳に老人斑(アミロイドベータなどの老廃物が溜まったもの)が現れることが報告されています。

様々な研究によって、エストロゲンの作用が少しずつ明らかになり、女性は更年期を迎えると、認知機能の低下が進んでいくことがわかってきました。

アルツハイマー型認知症の患者さんは男性も65歳を過ぎた頃から増え始めますが、女性のほうが急激に増えることがわかっています。

女性のほうが男性の2倍と言われています。

もの忘れの種類、鑑別、評価法

高齢者に見られるもの忘れは良性健忘と悪性健忘に大別されます。

良性健忘・・・比較的重要でないことをわすれる。体験のところどころ、例えば、名前、場所

、日付けは忘れることがあっても体験自体は覚えている。

悪性健忘・・・認知症に相当する。記憶の保持期間が短くなり、最近の出来事が思い出せない。

体験の一部だけでなく、体験したこと自体を忘れてしまう。

更年期外来で経験するもの忘れの大部分は、認知症とは関係ない良性健忘です。

記憶力の分類・加齢に伴う記憶の変化

記憶には様々な分類があります。

陳述記憶と非陳述記憶に分類され、陳述記憶はその内容を陳述できる記憶であり、さらにエピソード記憶、(個人の体験の記憶)と意味記憶(知識に相当し、学習の結果得られた記憶)に分けられます。

非陳述記憶は言葉や視覚イメージで表すことができない記憶(自転車の乗り方や泳ぎ方のような技能の記憶)を示しています。

加齢に伴う記憶の変化

歳をとるにつれてもの忘れしやすくなり、記憶力が低下するという事実は一般によく受け入れられています。

短期記憶への影響

加齢に伴って短期記憶が低下すると一般に思われているが、病的な記憶障害でない限り、短期記憶が目立って低下することはない。

長期記憶への影響

加齢は長期記憶に影響されることが明らかにされています。

40代前半に有意な記憶力低下が認められ、50代前半にはさらにいっそうの記憶力低下が認められました。

前者は血中のエストロゲンレベル(女性ホルモン)が低下して更年期が開始する年齢層であり、後者はほとんどの女性が閉経して卵巣からのエストロゲン分泌が急減する閉経期の年齢に相当しています。

更年期以降も記憶力低下は徐々に進行します。

ホルモン補充療法(HRT)は認知症を改善する?

ホルモン補充療法はエストロゲンを投与する治療法ですが、認知症予防にも効果があるのでしょうか?

ホルモン補充療法ガイドラインでは「認知機能を改善しない」「認知機能の維持または認知症の発症予防を主な目的としたホルモン補充療法は薦められない」としています。

その一方で、様々な研究によって、少しずつわかってきたことがあります。

鍵となるのは、1つはホルモン補充療法を行うタイミング、もう一つは誰に投与するかです。

タイミングについては、老年期にホルモン補充療法を受けると、認知症の発症リスクがむしろ増えるというデータがあります。

けれども、更年期(若い時期)のホルモン補充療法はアルツハイマー型認知症の発症リスクを低下させる可能性があるとしています。

次に誰に投与するかですが、ある遺伝子 apoEε4(アポイーイプシロンフォー)を持つアルツハイマー型認知症を発症するリスクが高い方に関してはアミロイドベータの沈着を抑えたというデータがあります。

エストロゲンを補充するタイミングや、アルツハイマー型認知症のリスクの高さによっては、ホルモン補充療法が良い影響を与える可能性もあるのです。

認知症を予防する生活習慣

全般的に健康な人は認知症になりにくいと言われていますので、健康を保つ生活が大切です。

メタボリックシンドローム(高血圧、高血糖、脂質代謝異常)の人はリスクが高いと言われています。

心臓の健康を保つ7つの習慣は認知症の発症リスクを抑制する可能性も高いとされています。

7つの習慣

  • より多く体を動かすこと
  • より健康的な食事をすること
  • 適性体重を保つこと
  • タバコを吸わないこと
  • 血圧とコレステロール、および、血糖値を良好に保つこと

心身ともに健康的な生活習慣は、認知機能を保ち、認知症を遠ざけてくれます。

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